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足がつるのはなぜ?予防とつった時の対策方法を理学療法士が伝授

足がつるのはなぜ?予防とつった時の対策方法を理学療法士が伝授

足の筋肉が急に固くなり痛みが生じる「足がつる」、「こむら返り」という症状。スポーツなどで筋肉が疲労した時だけでなく、睡眠で休息している時にも起こります。今回は足がつる原因とその対処方法について紹介していきます。

スポーツで筋肉が疲労した時や、寝起きに伸びをした時などに足がつってしまった経験はないでしょうか。足がつると何ともいえない痛みが生じ、動くことが大変になってしまいますよね。

今回は足がつってしまう原因と対処法、予防法について、体の専門家である理学療法士がお伝えしていきます。

足がつるってどういう状態?

一般的に「足がつる」といわれている状態は、医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」、「筋クランプ」といわれ、筋肉が過剰に縮んでしまった状態をいいます。なぜ突然筋肉は過剰に縮んでしまうのでしょうか。
その仕組みについてみていきましょう。

足がつる仕組み

筋肉には、過剰な動きで損傷をしてしまわないよう、伸び縮みを感知するセンサーが備わっています。それを筋紡錘(きんぼうすい)と腱紡錘(けんぼうすい)といいます。

筋紡錘は、筋肉の線維内に存在しています。筋肉が伸びすぎてしまった時、筋肉の線維が傷つかないよう「縮め」と指令を出すのが筋紡錘の役割です。

一方、腱紡錘は筋肉と骨をつなぐ部分である「腱(けん)」に存在しています。体の中で一番わかりやすい腱は「アキレス腱」ではないでしょうか。
筋肉が縮みすぎることで、腱が引っ張られて傷つかないように、筋肉に「緩め」と指令を出すのが腱紡錘の役割です。

筋肉は筋紡錘と腱紡錘が互いにバランスを取り合うことにより、効率よく働いています。ですが、何らかの原因により腱紡錘の働きが悪くなると、筋肉が過剰に縮んだ状態になってしまいます。これが、足がつった状態なのです。

足がつるのはどんな時?

では、どのような時に筋紡錘と腱紡錘のバランスが乱れ、足がつってしまうのでしょうか。はっきりとした原因は解明されていませんが、主に以下の原因があるといわれています。

【1】ミネラル不足

カルシウムやマグネシウムといったミネラルが不足すると、足がつりやすくなります。カルシウムやマグネシウムは、水に溶けると電気を通す「電解質(でんかいしつ)」と呼ばれ、神経が情報交換するために必要な物質です。そのため、不足してしまうと神経から腱紡錘への指令が上手く伝わらず、足がつってしまうのです。

【2】筋肉の疲労

スポーツや肉体労働など、筋肉の疲労によっても、足はつってしまいます。動きの中で、筋肉が伸び縮みを繰り返し、老廃物が溜まってしまうことにより、筋紡錘と腱紡錘の働きが悪くなることが原因です。

【3】水分不足

汗をたくさんかいたり、水分摂取量が少なかったりすることで体が脱水症状になります。すると、体内のミネラルバランスが崩れ、神経から筋肉への伝達が乱れてしまい、足がつってしまうのです。

足がつるのを予防するには

足がつるのは、耐え難い痛みが生じるため、できるだけ予防していきたいものです。予防のために、普段の生活で心がけたいポイントについてみていきましょう。

【1】水分をしっかり摂る

日頃から水分摂取を心がけるようにしましょう。夏場はこまめに水分摂取をするかと思いますが、冬場も知らず知らずのうちに体内の水分は不足しているので要注意です。
また睡眠中は、コップ1〜2杯分の汗をかくといわれているため、寝る前にしっかりと水分を摂取するようにしましょう。

飲むものですが、コーヒーや緑茶など、利尿作用のあるものではなく、ミネラルウォーターやスポーツドリンクのようなものが望ましいです。

【2】ミネラル豊富な食物を摂取する

ミネラルを豊富に含む食物を摂取するようにしましょう。特にカルシウムとマグネシウムが重要です。カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳製品、干しエビや小魚に多く含まれます。マグネシウムは豆類、ナッツ類、海藻類に多く含まれています。
これらの食物をバランス良く摂取することが大切です。

【3】日頃からストレッチをする

普段からストレッチを行い、筋肉を柔らかくすることも足つり予防に有効です。特につりやすいのがふくらはぎ。足を前後に開いて、アキレス腱を伸ばすようなストレッチを行うと良いでしょう。

【4】足を冷やさない

足が冷えてしまうと、血行不良により筋肉が硬くなってしまいます。靴下やレッグウォーマーなどを着用したり、就寝時は電気毛布などを使用したりして、足を冷やさないようにしましょう。

足がつった時の対処法

足がつってしまった時は、ストレッチで筋肉を伸ばすと痛みが和らぎます。
比較的つりやすい筋肉を、部位別に紹介していきますのでぜひ参考にしてみてください。

【1】ふくらはぎのストレッチ

【足がつった時の対処法1】ふくらはぎのストレッチ

伸ばしたい方を後ろにして、前後に足を開きます。
後ろの踵が床から離れないように、前に体重を移動していきます。
アキレス腱からふくらはぎにかけて伸びていることを感じながら、30秒程度ゆっくりとストレッチしましょう。

この時、後ろ足のつま先がしっかりと前を向くこと、踵が浮かないことがポイントです。

【2】すねのストレッチ

【足がつった時の対処法2】すねのストレッチ

椅子に座り、伸ばしたい方を上にして足を組みます。
つま先を持ち、足の指を曲げながら、つま先を下に伸ばしていきます。
すねの筋肉が伸びていることを感じながら、30秒程度ゆっくりとストレッチしましょう。

【3】もも裏のストレッチ

【足がつった時の対処法3】もも裏のストレッチ

椅子に座り、伸ばしたい方の足を前に伸ばします。
上半身を前に傾け、つま先に触れるように手を伸ばします。
もも裏が伸びていることを感じながら、30秒程度ゆっくりとストレッチしましょう。

【足がつった時の対処法3】もも裏のストレッチ

床に座った状態で、足を伸ばす方法でもOKです。

【4】太もものストレッチ

【足がつった時の対処法4】太もものストレッチ

立った状態で、伸ばしたい方のつま先を持ち膝を曲げます。
そのまま太ももを後ろに引き、ももの前が伸びていることを感じながら、30秒程度ゆっくりとストレッチします。

【足がつった時の対処法4】太もものストレッチ

床に座った状態で膝を曲げる方法でもOKです。

足つりを繰り返す場合は病院受診を

紹介してきたように、足がつってしまう原因は、水分不足、ミネラル不足、筋肉の疲労など様々です。ですが、繰り返し起こる場合は他の原因が隠れているかもしれません。
腰や血管、内臓などの不調により、足がつってしまうこともあるので、心配な場合は整形外科や循環器内科などを受診してみることをオススメします。


監修・ライター

rana

理学療法士となり12年目。現在は整形外科にて勤務し、腰痛や膝痛などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。webライターとしても活動し、健康、医療分野を中心にこれまで多数の記事を執筆しています。

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